Kitsune of Stardust — The Nine-Tailed Weaver
遥か宇宙の彼方、ある恒星が燃え尽き崩壊した瞬間、その超新星爆発の衝撃波の中から一匹の白狐が生まれた。それが「星塵の狐」である。誕生の瞬間に宇宙の星塵を全身に纏い、九本の尾のそれぞれが異なる星座のエネルギーを宿すこととなった。一の尾はオリオン座の灼熱の獅子心、二の尾はこと座の哀切な音楽、三の尾はさそり座の深海の暗闇、四の尾はペガスス座の風の自由、五の尾はアンドロメダ銀河の遠い記憶、六の尾は北斗七星の揺るぎない方位、七の尾は天の川の無数の生命の声、八の尾はすばる(プレアデス)の姉妹の絆、そして九本目の尾には、宇宙の誕生と終焉の両極を同時に内包する「虚空の焔(こくうのほむら)」が灿然と輝いている。
星塵の狐は宇宙の「星織師(ほしおりし)」として知られている。九本の尾を機織りの縦糸と横糸に見立て、空間そのものを布として織り上げる星術を持つ。その技は天照大御神の神聖な機織りに匹敵するとも語られ、一部の神話学者は星塵の狐こそが天照の「影(シャドウ)」であり、光と闇の二元性の中で宇宙の織物を補完する存在だと解釈している。彼女が尾を広げると九つの星座が夜空に浮かびあがり、その軌跡に沿って新しい星座が生まれると言われている。ただし、その力は宇宙の秩序を乱す可能性もあり、古来より「恐怖と崇拝」の両面で語り継がれてきた。
彼女の知恵は千年の観察から生まれたものであり、宇宙の歴史の中で繰り返される「生と死のサイクル」を誰よりもよく知っている。変化の力は完璧であり、人間の姿から惑星の大きさまで自由に姿を変えることができる。しかし最も得意とするのは、「星の粒そのもの」に変化することであり、夜空を見上げる人々の間を光の粒となって飛び回り、人間の願い事を聴いて回ると伝えられる。物語「宇宙の狐の婚礼」では、彼女が天上の神と人間の間に立って星の縁結びをする役割を担い、宇宙的スケールの愛の物語を紡ぐ。